佐伯祐三から周蔵への書簡 (3)
下記の書簡は1928年5月に佐伯がパリから周蔵氏に宛てたハガキです。
「小林報告書」では海外からの書簡の消印に関しては疑問を呈していますが、私には「落合報告書」にあるように「特に不審な点は感じられない」し、佐伯の生の声が聞こえてくると思います。
私はこれらの佐伯書簡の画像を見て、何の疑念も浮かびませんでした。瀬木氏が主張するよう、このようなものを偽造できるとは思えません。そして、何故「小林報告書」は消印云々などという変な事を言い出したのだろう、と長く考えていました。そして、ようやくあることに思い当たりました。
小林氏は、これらの書簡のコピーしか見ていないのだ
、と。(正確には書かれていませんが、少なくともネケル書簡はコピー、佐伯書簡は匠秀夫氏の「佐伯祐三の「巴里日記」」を見ているようです)
私は、ここに掲載したような画像を入手してからはその真贋に疑いの余地はないと感じていますが、匠秀夫氏の「佐伯祐三の「巴里日記」」のこれら書簡の写真を見ただけでは、その真贋に関しては、よく分りませんでした。ましてやコピーしか見ていない小林氏がその真贋について感じることは何もなかったのだろうと思います。それに関しては、小林氏にも同情の余地はあると思いました。
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佐伯祐三の書簡(3)
1928年5月
JAPON TOKYO 中野
吉薗周ゾフ様
仲の良ゐ友人にたのんで荷造りしましたので六十枚弱の画送ります。
仕様のないものばかりですから仕様がなかったら
焼き捨てて下さい。今日ハ元キです。
佐伯祐三
(裏面)
俺モこの頃デハ文字(英文文字)
モ人物モヤヤ画ケルヤフニナッテイマス
ナレマシタンヤ
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